ピンクおじさん
私の住んでいる街には、「ピンクおじさん」と呼ばれる有名人がいます。
有名人とは言っても、ピンクおじさんは芸能人とかそういう類ではなく、あくまでも一般の方です(たぶん)。
彼はそのあだ名のとおり、全身ピンクの洋服に身をつつみ、いつも街を徘徊しています。
年齢、職業、住まいなど、全てが謎に包まれているピンクおじさん。
街に買い物に出掛けると、かなりの確率で遭遇します。
友人との間でも、よく話題にのぼる位です。
私の見たところ、40代くらいではないかと思います。
ものすごく痩せていて、だいたいいつもピンクのベルボトムを履いています。
そんな奇抜な服、いったいどこで購入したのでしょう。
そして、ロン毛にサングラス。
サングラスはピンクではなく普通の黒だったと思います。
こんな容姿のおじさんがウロウロしていたら、目立つのは当たり前です。
地元のローカルテレビを見ていると、よくお天気ニュースなんかで街の景色が写りますが、ピンクおじさんが背景に溶け込んでいるのを見たことがあります。
まるでフィギュアスケート選手のようないでたちで、誰よりも目立っていました。
そして今日。
近所のスーパーで、ピンクおじさんを発見しました。
もしかしてご近所さんなのか!?と、なぜかテンションが上がる私。
何気なく近寄って買い物かごの中身を見てみたのですが、さすがピンクおじさん。
期待を裏切りません。
綺麗なピンク色の桜でんぶが、一つだけ入ってました。
いったいピンクおじさんの今日の晩御飯は何なのか。
少し、いやかなり気になりましたが、それ以上ピンクおじさんのベールに包まれた私生活に踏み込むことはできません。
桜でんぶを買ってスーパーを出るピンクおじさんの後ろ姿を見ながら、世の中にはいろんな人がいるなあとつくづく思いました。